『詞華集 郵便ポストのナイチンゲールな夜』を読む [読書]
「詞華集」とは何か。「美しい詩文を集めた書物。アンソロジー。」とネットの辞書は説明しています。古い『広辞苑第4版』も同じ説明です。の作者は「尚 泰二郎」氏です。
「美しい詩文」の定義が正しいとすれば、次の作品は美しいのだろうか。
「老化/爪の先から、何かがとめどなく、剥がれ落ちてゆく。」
幼児は何かを獲得していくように見えるが、年寄りは、何かを規則的に剥がしていくのでなく、不規則に剥がしていく。それを美しいと見る人もいるのだろうか。「美しい」という定義から始めなければならないのかもしれません。
精神科医竹中星郎氏は次のように述べています。
「個別性は一面で収斂に、一面で多様化に向かう。規則性、連続性から老いを眺めると醜悪にみえるかもしれないが、老いのすべてが醜悪なわけではない」とし「標準化された尺度はない」と述べています。多くは醜悪なのだろうか。
「温暖化/突如として地球が真っ二つに割れる。」
地球が危なければ大国の宇宙軍が他の星に侵略していくのであろうか。
この詞華集は「生きるヒント」「不運な日」「愛の賛歌」「糞尿譚」の四つの章で構成されています。
「死者
あなたが生きたのはどんな時代だったのか。
いくつもの迷路を抜けてあなたに辿り着き、
世代を超えもういないあなたと繋がりたい。」
いくつものことについて問題意識を投げかけています。それを必要とするものが見えてくるようです。