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キーワーカーと言うそうです [社会福祉]

 


 


202042日付の西日本新聞の「社会時評」はプレディみかこさんです。プレディみかこさんの著作で私が読んだ本としては『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』があり、イギリス在住で福岡市生まれの方です。


 


「社会時評」は次のように始まります。


「新型コロナウイルス感染拡大で事実上の外出禁止令が出た英国では当然ながら{ 学校もお休みだ。が、実は、学校に通っている子たちもいる。政府が「キー・ワーカー(地域に必要不可欠なサービスの従事者)」と認定した人々の子どもたちだ。医療従事者、警官、教員、保育士、介護士、公共交通機関職員、スーパーマ一ケット従業員などがそれにあたる。こう書き出してみて気づくのは、非常時に「鍵となる勤労者」と呼ばれるほど重要なサービスを提供する職業がおしなべて低所得の仕事ということだ。(以下略)」


 


プレディみかこさんはいう。この困難を支えているのは「キーワーカー」だし、平時から「この人たちの職場に投資」しなければならないのだ。イギリスでは326日にウイルス患者を支えている関係者に拍手を送ろうとするインターネットでよびかけがあったという。プレディみかこさんはいう。「平時のゆとりこそが緊急時の対応力」だという。日本でも、病院や高齢者施設、障害者施設が集団感染しています。そんなときに例えば花見をしたりするのも散歩のついでにしたりして、「キーワーカー」のことを思いおこしたい。「社会時評」のタイトルは「新型コロナと社会の屋台骨」とされています。どこかの国では介護は単純労働として外国人労働者にさせて良いとする。それを当然のことのように受け入れていないか


 


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年金の仕組みをどうする [社会福祉]

 


 


 新型ウィルスの話でその感染力の強さが目立ちますが、致死率は低いのではないかと言われていますが、素人にはよく分からないことがあります。例えば、「濃厚接触者」という言葉ですが、何が濃厚なのかが分かりません。感染経路が分からないのになぜ感染してしまうのはなぜか。一回感染すれば免疫ができて次は感染しないのかどうか。素人的には疑問がのこるばかりです。


 頼りの国会は紛糾するばかりですね。次の問題はどうなるのでしょうか。


政府は全世代型社会保障ということで年金・福祉などの見直しを進めています。今の年寄りはタンス預金が多いから詐欺にかかりやすいという話題も出てくる始末です。若者には自分たちが老いた時に年金がどうなっているのかと心配されています。議論は世代間の不公平にすりかえられています。医療費・介護保険についても世代間の格差が強調されています。そうした背景としての世界の年金事情の連載だろうと思います。


 


「世界の年金事情 オーストラリア 裕福な老後を楽しむ


オーストラリアで比較的裕福に老後生活を送る高齢者が多いのは、公的年金である社会保障年金(老齢年金)に加え、「スーパーアニュエーション」という私的年金が充実しているからだ。老齢年金は税財源で賄われ、社会保険料負担はない。全国民が一定額の支給を受けられるが、一定以上の所得や 資産があると減額される。スーパーアニュエーショシは老齢年金を補完し、高齢者の所得保障を強化する目的で1992年に整備された。 会社員や公務員など被用者が強制加入となり、雇用主は賃金の一定割合(現在は95%)を被用者の年金口座に 拠出することが義務付けられている。 自営業者は任意加入だ。(以下略) (バーウッド共同)」(2020221日西日本新聞)


 


では、どういう案があるのでしょうか。「全世代型社会保障検討会議中間報告 令和元年12月19日 全世代型社会保障検討会議」によると、一つの方策として


「(1)受給開始時期の選択肢の拡大


 国民一人一人が老後の生活設計を考えながら年金受給のタイミングを自分で選択できる範囲を拡大するため、60歳から70歳まで自分で選択可能となっている年金受給開始時期について、その上限を75歳に引き上げる


 


75歳まで受給年齢を引き上げるなど対象年齢ひきあげて節約するということなのでしょうが、将来の受給開始時期の引き上げなどが視野にあるのではないか。それでは、社会保障費の伸びのために増税するとしてきたのではないか。それが大企業や富裕層の減税の資金になってきたのではないかとの指摘もあります。


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国が求めた出産 [社会福祉]

 


 


 旧優生保護法による妊娠中絶の補償の問題が報道されましたが、謝罪と違憲性を求めた裁判が続けられています。現在でも、少子化対策として「女性に子どもを産んでもらいたい」という政治家がいます。子どもを産みたい環境をつくることが政治の使命なのに、産むことだけを求めています。これは政策ではありません。


「すべての人の社会」2020.1月号 日本障害者協議会で「堕胎罪一優生(母体)保護法という人口政策 大橋由香子」では、次のような事実を紹介しています。


 


「皆さんは、『産めよ、殖やせよ』という言葉を見聞きしたことがありますか?今の日本でも、少子化で大変だ!もっと女性に産んでもらわないと、という政治家の声が報道されていますが、「産めよ、 殖やせよ、国のため」は1945年まで戦争をしていた日本のスローガンでした。女性は「子宝部隊」と呼ばれ、健全な子をたくさん産んだ夫婦は「優良多子家庭」として表彰されました。 1868年以降、明治政府は欧米のような近代国家をめざして、産業化や戦争の役に立つ労働力・兵力の増強をはかりました。1869年には、産婆(助産師) に対する堕胎禁止令が出され、その後、1907年の刑法には堕胎罪が制定されました。堕胎とは人工妊娠中絶のことです」


 


 こうした社会的な空気の中で、強くて、逞しいこども作りが奨励されていくのです。40年前の国際障害者年の時代に、例えば、てんかんの人は法律的には旧優生保護法の対象でした。


現実的には、てんかんどなどでも結婚していく人も増えつつあった時代です。それでも1996年の法改正まで大きな問題になりませんでした。不思議な気がします。今回の動きは、国会としての怠慢も認めたものだと言えるかもしれません。


 


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対価払えるか   [社会福祉]

 

「全世代型社会保障への視点 長生き社会対価払おう 中央大学大学院客員教授 海老原嗣生」(2020113日西日本新聞)では次のような提案がされています。

 

「今回は実現しなかったが、将来の年金水準を最も引き上げられる方法は、国民年金の保険料納付期間を延ばすことだ。現在は2059歳の40年間だが、64歳まで5年間延長しても良いと思う。延長することによって国民年金の支給額が増える。財源の半分は国庫負担となるため、新たに1兆円程度の捻出が必要となる。将来的な消費税率引き上げと絡んで議論するべき課題だ。(一部引用)

 

 消費税引き上げを条件にした議論は厳しいものだと思う。高齢者の生活保護受給者数を増やすだけではないか。最近の統計ではますます高齢者の生活保護施受給者が増えているという。逆進性が強い税制度の議論ではなく、財政構造の改革抜きにした議論では消費税増税の議論に陥ってしまうと思われます。例えば、大企業の法人税を1980年代半ばに戻すなど社会保障の枠内での議論をやめない限り、財源の捻出は難しいのではないだろうか。持つ者が応分の負担をして欲しい。

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成年後見人制度は [社会福祉]

 

 

まずは使いやすい制度にすべきだと思います。最近、報酬アップを決めたそうですが、着実に実行してもらうには必要なことだと思います。ところが、障害者基礎年金の場合、1級は月額約8万円、2級で約6万円ですので、報酬を月2万円としても収入の4分の1または3分の1程度にあたります。これで生活していけというのは酷です。この方策をまずは検討願いたい。 次に、意思決定支援の仕組みについての改善点についての意見を紹介します。

厚生労働省は障害者への後見人の実態調査をしたそうですが、どのように施策が展開されるか期待したい。

 

「成年後見人制度 識者に聞く 利用前から意思決定の援助を 

中央大学教授 小賀野晶一

認知症高齢者500万人と言われる時代に、成年後見制度の利用者は約21万人にとどまっています。判断能力が衰えて支援が必要な高齢者が急増する状況に対応できていません。成年後見人は家庭裁判所の審判で選ばれ、ほぼ無制限の代理権を持ちます。この強い代理権を背景に支援が進められる一方、横領などの不祥事も起きています。月2万~6万円とされる報酬も必要で、一般の人が気軽に利用できる制度とは言えません。介護保険は高齢者にとって必要な制度と受け止められ、広く利用されています。(略)

モデルはあります。例えば社会福祉協議会が実施する「日常生活自立支援事業」です。本人との契約で預貯金の出し入れなど日常的な金銭管理や見守りなどのサービスを提供していま す。とてもよい仕組みなので、予算や人員を確保し実施体制を充実させることが 期待されます。 昨年、京都で医師や法律 家、福祉関係者らが一般社団法人「日本意思決定支援

推進機構」を設立しました。すでに専門家らを対象に、遺言を残すことができる意思能力の有無のチェックの仕方などに関する研修事業を開始しました。将来的には、成年後見制度は利用していないが判断能力に 不安がある人から、手術時の医療同意、遺言作成、不動産の売買といった相談を受け、医療の知見を生かした意思能力の確認など、決 定のサポートをしたいと考 えています。 成年後見制度の改善と、 成年後見利用前からの意思決定サポート。高齢者の安心のためには、両方のアプローチが必要です。(聞き手・清川卓史) 」(2019221日朝日新聞)

 

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地域の助け合いは [社会福祉]

 

 

新聞の投稿欄からです。

 

「地域を育てる 人々の温かさ 65

陸橋の下で、元気に声を掛け合ってラジオ体操をする十数人に出会った。その威勢の良さに、ウオーキング中の小生も朝から元気をいただく。 その中のAさんいわく、 地元の不登校の子が気になり、彼に元気になってもらうため、声を掛け合って体操を始めたという。夏休みの最後の週には、皆でバー ベキューをすることも話してくださった。この子どもたちは、きっと地域の人たちの温かさを忘れず、立派 成長するだろう。 ウオーキングの折り返し 地点は小高い丘。そこに花火をした後のごみが散乱していた。拾い集めて買い物袋に入れ、帰路時に持って帰ろうと思い、その場を離れた。しばらくして戻るとそのごみ袋がない。通りすがりの方が持ち帰ってくださったのだろう。少し申し訳なく思ったが、同時にすがすがしい気持ちになった。」(201889日西日本新聞)

 

住民同士の助け合いは気持ちがいい。だが、政府が言う「地域共生社会」は公的な支援を減らし、地域に肩代わりさせるものです。戦時中の隣組制度をイメージさせます

 

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「やりがい搾取」 [社会福祉]

 

 

 

「保育は憲法実践の場  保育園園長 平松知子さん 

保育園は子どもの命に直結した場。待機児童解消のため、 保育士の配置基準を緩和することは、本当に子どものためになる?あるとき、講演をしていたら、フロアにいた弁護士の川口創さんに「それって子どもの人権の問題ですよね」と指摘された。衝撃的だった。 私たちは、子ども一人一人 の「こうしたい」という気持ちに寄り添う保育をしている。O歳児が「やーん」と泣 いて顔をしかめれば、それも 意見表明。川口さんの指摘で、 子どもたちの主体性を培う保育実践は、個人を尊ぶという「憲法実践」であると気づいた。

昨年度、園では「人権の尊重」をテーマに、子どもの様子を記録し、職員で議論を重ね、子どもの主体性を大事にできているかを考えた。給食の前、決まった場所から椅子を動かす子どもの姿があった。そこには「大好きな先生と一緒に給食を食べたい」という思いがあり、それは「人とつながりたい」、という大事な発達の姿だと気づいた。子どもの行為には意味がある。 大人の思い通りにさせれば 早いかもしれないけれど、子どもは主体性を大切にされな ければ、意見を言うことをどんどん諦める。指示待ちの大 人になってしまう。 さまざまな家庭と関わった が、疲れ切った様子の保護者に声を掛け、見えてくるのは成果主義の仕事に身も心 もすり減らしているという 現実だ。保育を追求すると、どんどん政治につながる。 子どもの成長する権利と、 保護者が働く権利を保障する場にあって、保育士は、法律や権利を身近なものとして捉え、声を上げる必要がある。

保育はやればやるほど奥が深い。保育土の人権も尊重されなければならない。やるべき仕事はあまりに多いのに、賃金は低い。保育士がきちんと休めないと、子どもたちに笑顔を見せられない。専門職の保育士には、研修などでもっと学ぶ時間も必要。保育の質を維持するだめにも、保育士の「やりがい搾取」を当たり前にしてはいけない。」(201853日西日本新聞)

 

保育士に限らず、介護、障がい者福祉の現場に共通する観点ではないかと思いました。少し気になっているのは、障がい者施設を選べる時代になったことはいいことだと思いますが、選び方が皮相になってはいないかと感じます。

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民生委員100年の歴史が [社会福祉]

 

 

「報酬で応えよ善意の民生委 69

本紙社説に「民生委員100年」と題して、職務の再点検や処遇の改善などに取り組む必要性に触れられていた。私は13年の約束で、昨年11月末をもってその任を終えた。私の住んでいる地区は89軒。江戸時代から戸数にあまり変動がなく、高齢化率も高い。歴代の民生・児童委員は責任感があって面倒見がよく、地域と行政とのつなぎ役として、それは並大抵で はない努力を積み上げてこられた。 しかし、その重圧のため に引き継ぐ人がおらず、自治委員の苦労は絶えない。市福祉健康課のアンケートにも答えたのだが、無給を前提に善意だけに頼るのはもう無理がある。 その責任と行動に見合う報酬を支払うべきだと考える。個人の善意に公共的な報酬、処遇を組み合わせることが必要な時期に来ているのではないだろうか。」(201778日西日本新聞)

 

指摘される通りだと思いますが、住民との関係だけでなく、地域の福祉施設、福祉団体との連携にも力を注いでおられます。作業所などの応援や住民とのパイク役など多岐にわたります。

民生委員協議会のホームページによると

「済世顧問制度

 民生委員制度の源とされるのが、大正6年、岡山県で創設された済世顧問制度です。創設者は、当時岡山県知事であった笠井信一氏。 大正5年、地方長官会議において、大正天皇から「県下の貧しい人びとの生活状況はどうか」との御下問を受け、その状況を調査したところ、県民の1割が極貧とも」いえるなかで、貧困層を救済する人たちがいたことを示しています。

「時代が昭和へと移っても、国民の困窮は厳しいものがありました。当時、公的な救済制度としては、明治7年に制定された「恤救規則」がありましたが、その対象者は限定的であったため、新たな救貧制度が求められていました。

 全国の方面委員は広く福祉関係者と連携し、新たな立法化の運動を進めます。その結果、昭和4年、新たな公的救済制度を定める「救護法」が成立しました。法案審議では、困窮者支援の実効性確保について、全国に方面委員が存在し、住民の生活状況を把握しているこ

とが政府の支えとなりました。 しかし、法律は成立したものの、財政上の問題から実施時期は未定という状況が続きました。全国の方面委員は関係者と一体になって強力に実施促進運動を展開するも、状況は変わりませんでした。」

 

苦難の歴史があり、そのなかでの無報酬の歴史が作られたのかと想像しました。そこに深い敬意を改めて抱きました。いろんな知恵を結集して新しい伝統を築いてもらいたい。

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青いか、「本当の涙や悲しみ」か [社会福祉]

 

日曜日の「笑点」は今でも見ています。子どもたちは「サザエさん」が終わると「また、学校か」と気を重たくすると言われましたが、大人では「笑点」だったように思います。同僚からよく聞きました。それだけ、見られていたのでしょうが。先代、円楽が亡くなり、6代目が誕生。先日は司会の歌丸さんが入院されるなど、時の流れを感じます。「週刊朝日」に三遊亭好楽と息子の王楽の対談がありました。好楽さん曰く「王楽がときどき不満を言ってると、まだまだ青いなと思うね。アタシ、不満なんかないもん」。私は青いのだと再認識しました。

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 さて、障害者自立支援法などを含めた施策について「

安全保障としての医療と介護

安全保障としての医療と介護

  • 作者: 鈴木 厚
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2010/01/08
  • メディア: 単行本

」では次のように指摘されています。著者は医師で、障害者自立支援法について不正確な部分もありますが、考え方は鋭いと思います。

 

「保険制度は全員が保険料を払うことを前提にしているため、保険料を払えない弱者は保険制度から排除されています。この保険制度から排除された弱者こそが、本当の弱者であり、公費により彼らを救うのが弱者救済の福祉になります。厚労省の官僚は福祉のプロとして、福祉については隅々 まで知っています。しかし最も大切な「本当の涙や悲しみ」を知りません。一般人も含めて血も涙もない者に福祉の何たるかが分かるはずがないのです。この福祉に対し、白民党政府は「自己責任、自立支援」という冷たい言葉で弱者を突き放しましたが、障害者になったのは自己責任ではありません。突発的な事故や病気、先天性の疾患によるものです。また自立ができないから支援が必要なのです。障害者自立支援法は「障害者の自立」という文言で、福祉を放棄したといえます。平成18年に知的障害者に1 割の施設利用料を新たに負担させ、そのため障害者は利用料を払えず、施設の利用をやめています。利用者が減れば、施設は補助金を減らされ閉鎖となり、利用者は行き場を失ってしまいます。それまでの障害者は施設での作業で月約1 万円が支給され、その1 万円が障害者の生き甲斐になっていました。しかし無料だった利用料と食費が月約3 万円請求され、差し引き2 万円程度の自己負担になりました。これでは自立支援ではなく、弱者突き落とし政策といえます。」

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ここで言われているように介護保険などの負担は大きいです。障がい者問題を論じていても、私は「本当の涙や悲しみ」というところに帰着します。それは、時として横柄になることがあるかもしれませんが、そこからしかエネルギーが湧いてきません。私の不満もそこから生まれてきますので、好楽さんに言わせれば「青い」のでしょうね。


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社会保障と終身雇用 [社会福祉]

 

 

ロックアウト型解雇と言われる正社員の突然の解雇が増えているとはいえ、終身雇用制が完全に崩壊しているとはいえません。だが、企業のM&Aなどで、人員整理がいつあるか分かりません。NHKのドラマにあったように人員削減を請け負う会社もあって、益々、終身雇用は不安定になっています。では、個人はどうすれば良いのか。その処方箋が目の前にはありません。渡辺治氏は戦後の社会保障の遅れについて、次のように指摘しています。

 

「企業社会による福祉代替、社会保障の変質

こうした企業社会と労働組合の変質は、憲法二五条に二つの影響を与えました。ひとつは、企業社会の確立に伴って自民党政権が安定した結果、革新政党が政治を握ってつくる福祉国家は、ついに実現を見なかったことです。そのため、大企業に負担となる福祉は拡充されませんでしたし、福祉の政治を実現するための大企業課税は、他の福祉国家に比べて、安く抑えられ、様々な形で免除されました。もうひとつは、民間企業の労働組合運動の側からの、社会保障の要求が強く出されなくなったことです。大企業の労働者もまたその組合も、終身雇用慣行の下で、自分たちが失業するなどとは思わなくなったため、雇用保険や、生活保護の問題にまじめに取り組まなくなりました。雇用保険や生活保護などは、自分たちと関係ないごく一部の人たちの問題と認識されたのです。六○ 年代初頭に朝日訴訟
を自らの問題として取り組んだ総評の姿勢は、民間企業の労働運動の変質とともに、後退を余儀なくされていったのです。また、労働組合は、自分たちと同じ労働者でも、企業支配の及ばない零細企業労働者の賃金や非正規労働者の解雇や低賃金などの問題にも取り組まなくなったのです。それどころか、退職後の生活保障の問題もあまり真剣に問題とされませんでした。企業に定年まで働けば、退職金がもらえたからです。」(憲法9条と25条・その力と可能性)

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今年の春闘でも大企業の労働組合はベア要求を見送りました。個人としては、解雇されないようにがんばるしか生きていく方策がありません。それは、どういう結果になるでしょうか。私が働いていたところでも、60歳で定年なのですが、再雇用制度はあるがほとんど雇用される人がいなくなったそうです。そうすると、年金までの5年間をどうしてやっていけば良いのかと思うのです。一人ひとりとっては、ただ、真面目に働いてきた結果がこうなるとは。

 

がん患者、お金との闘い

がん患者、お金との闘い

  • 作者: 札幌テレビ放送取材班
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/01/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

昨日届いた本です。「命をとるか、生活をとるか」と帯に書かれています。社会保障の姿です。

 


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