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老いの多様性 [高齢者]

 


 


精神科医がみた老いの不安・抑うつと成熟 (朝日選書)

精神科医がみた老いの不安・抑うつと成熟 (朝日選書)

  • 作者: 竹中 星郎
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2019/12/10
  • メディア: 単行本



『精神科医がみた老いの不安・抑うつと成熟』竹中星郎著は示唆に富む本だと思います。老いという最期の苦難とどうつきあうのか、語られることが少なかったように思います。私などは無知でしたのであわてふためきました。脳梗塞で倒れて数年、医療費の高騰に音を上げた政府はリハビリの期間を原則180日間としたのです。猛烈な反発と悲しみが患者さんを襲いました。そのなかで毅然として立ち上がったのが多田富雄氏でした。自らも脳卒中になりリハビリに励む人でした。世界的に知られた学者であることは知っていましたが、大変励まされた思いがしたものでした。病院の待合室でリハビリ打ち切りの話が悲痛に語られた記憶があります。


 


 


「免疫系の老化を研究した多田富雄は老いの多様性について次のように語っている。


さまざまなレベルでの異常(多重構造)を認められるが、それらの変化をつなぐ基本的な法則性はみいだせない。老化は入れ子のようにばらばらに非連続的に組み込まれているだけだ。生命の誕生や 成長の過程では神秘的なほどのみごとな規則性、連続性が認められるが、老化の過程は「統合性を欠いた醜悪な現象の集合に過ぎない」。そう断じて、老化の研究とは微視的にせよ、巨視的にせよ、この不連続な現象のどこかを目撃しているに過ぎないと指摘する(「老化と免疫系」『老いの様式』所収)


たしかに生物学の視点で老いの衰退、退縮過程を眺めると秩序立った規則性は失われ、統合を欠いた不連続な現象に映る。そのことは間違いないが、それは発達、成長の尺度を老いに当てはめたからである。老いは規則性、連続性という直線ではとらえられない。」


 


「老いは規則性、連続性という直線ではとらえられない」のは老人だけではなく、子どもに見られると竹中氏はいう。さらに、老いはネガティブなものだけではないともいう。しかし、老いを生きる人の心身は知られていないのは事実だと思う。それはどういう理由なのか。朽ちていく存在からでしょうか。それとも情報が得にくく学問として「なりたち」にくいのでしょうか。


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