自粛という名の自助 [経済]
インターネットのニュース欄に元ホークスの内川選手の行く先が載るのをいまかいまかと舞っています。ホークスで鍛えた技とチームをひとつにする力を欲しい球団はあるはずだという祈りにも似た気持ちです。8日の西日本スポーツがヤクルトと契約の予定だと伝えています。
コロナ禍は緊急の事態です。なのに政治家は語らない。
「コラム 【コロナ「第3波」】 姜尚中さん2020/12/7 西日本新聞」では「日本モデル」について注目したい。
「にもかかわらず、改正法の抜本的な見直しに目が向けられてこなかったのは、感染抑止と社会経済活動を両立させたとする『日本モデル』によりかかった、国民の涙ぐましい自粛と自制による「幸運な」結果への思い入れが強かったためではないか。
安倍前首相が記者会見で勝ち誇ったように語った「日本モデル」は、今から思えば、社会的な画一行動を律義なほどに「忖度(そんたく)」する、国民的な努力の成果にすぎなかったのである(一部引用)」
黙して語らずなのか。ひたすら自粛を求めて具体的な施策を示さない。政府と自治体の対立は起こるべくして起こった。マスク越しに相手をさぐるような目つきになり、「同調圧力」を発しています。そのなかで「幸運」が重なった「日本モデル」がもたらした第1波、第2波で、資本がない店は崩れ落ちていくようにならざるを得ません。「自粛」という名の自助のススメでやっていけないのでは。
「村の女は眠れない」 [経済]
テレビの朝ドラの再放送が夕方にあっています。国会中継などで放映されないことも多いので必ずあるわけではありませんが。今は有村架純主演の「ひよっこ」です。主人公の父も東京に出稼ぎに出ていますが、消息不明となります。主人公は集団就職で東京に出て父の行方を捜しています。
その時代を描いた詩が「村の女は眠れない」です。
「高度成長の人柱
二O一五年の今、これだけは言いたいと思うことを書いておく。
草野比佐男氏の作品に「村の女は眠れない」という詩がある。
女たちは東北で生きている。一九六O年から七0年代にかけてのこと。
なぜ、女たちは眠れないのか。
男たちは、いないのだ。妻や子をふるさとにおいて遠い都会へ出稼ぎに行っている。
男と女―――抱きあって確かめ合い、満たされて眠る。それがない。
なぜ、男たちは都会に出ていくのか
在所では仕事がないのだ (略)
戦争が終り、やっと「強制の死」からまぬかれる時代が来たとき、男たちはふるさとを
離れた土地でいのちを終え、眠れない女たちは、片身の人生を生きつづけねばならない。
(一部引用)」(『昭和とわたし』澤地久枝)
「村の女は眠れない」はこれもNHKで取り上げられます。初回でなく再放送がEテレでありました。高度成長期の建設現場などで働いていました。高度成長期そのものは私みたいなものでも雇ってくれるなどいいとこもありましたが、農村から男たちと若者を都会に吸収していきました。テレビで詩の朗読があったと思います。衝撃的でした。詩としても、出稼ぎの実態にも・・・。
「コンパクト化する家族」 [経済]
先日、午前9時30分頃、散歩に出かけました。近くの歩道でお年寄りに声を掛けられました。「バスが来ない」と。バスというのは、丘陵地のためかつての若者が買い物弱者になったために、ボラティアで運行し、車は多分市からの提供で運転している無料のバンタイプの車のことです。その停留所のところでしたが、隔日運転ですので曜日を確認。次に時間を見ると10時6分とあり、30分間あります。「お宅はどこに行かれます」と問われたので近くを歩いてきます。認知症のサポーター研修は受けていますが、判断に迷いました。
話題は、家族の方の変化と消費行動の変化についてです。
「変わる家族の形と消費 平成における消費者の変容(1) 」(ニッセイ基礎研究所生活研究部 主任研究員 久我 尚子)によれば平成の時代に「大きく変わったのは『家族』『女性』『若者』『インターネット」』」だという。私の家もそうですが、標準世帯(親と2人の子)というのは今や5%以下だというではないか。
「核家族化や未婚化、少子化の進行で家族はコンパクト化している。また、若い世代ほど共働きがスタンダードになっている。働く父親と専業主婦の母親、子ども2人の「標準世帯」は今や5%未満の少数派だ。家族のサイズや形が変われば、自ずと消費市場で売れる商品や必要とされるサービスも変わる。」
働く女性の増加も顕著だが喜んでばかりはいられない。世帯としての収入の低下で働かざるを得ない面も強いようです。
ここから見て、コンビニエンスの24時間営業はどうだろうか。利用者は若者から高齢者にシフトしているという。夏場早朝の散歩をしているとお年寄りがコンビニから出てくるのをよく見かけました。
日本企業は沈没するのか [経済]
年末に『非正規・単身・アラフォー女性』を読みました。40歳代の人たちは大学卒業時に不況であり、その後、非正規雇用が拡大し続けます。
評論家 荻上チキさんと社会学者 上野千鶴子の対談の発言からです(2019年1月1日西日本新聞)。上野氏は女性差別の基本は経済格差だとしています。先の本で感じていたことを明解に指摘しています。
「上野
一番大きいのは女性が働いても食えない問題です。女性差別の基本は経済格差です。それが解消されずに、むしろ悪化している。私たちは雇用機会均等法ができた85年を「女性の分断元年」「貧困元年〕と呼んできました。均等法は結果として「総合職と一般職」という採用区分で差別を正当化しました。しかも労働者派遣事業法が同年にできて労働者が分断された。非正規労働者は男性労働者の21%、女性労働者の56%に上ります。
終身雇用制、年功序列、企業内労働組合という日本型雇用が諸悪の根源だとわかっていま す。子育てをする女性は、この雇用慣行の中では低賃金で使い,使い捨てになる。組合は男性正規労働者の既得権を守るだけです。長時間労働の是正と、非正規でも生活できるようにする同一労働同一賃金制度が必要です。 日本型雇用にこだわる企業は、いずれグローバル競争に負け、沈没していくでしょう。」
非正規労働者は女性で支えられるが、低賃金で使い捨てだという。それは全体の賃金抑制をもたらしています。一連の大企業での不祥事は、企業の言うがままの政治を実現した見返りとして体質的に脆弱化しており、沈没していくとの指摘は新鮮です。税率の引き下げ、消費税が上がれば輸出企業には「戻し」があり、過労死が当たり前の「働き方改革」そして外国人労働者の受け入れ拡大によるさらなる低賃金化の仕組みの強行。楽して収益を上げる仕組みなのです。
社会貢献事業は [経済]
日曜日、天神の人ごみに疲れたわけでもないと思いますが、体調は芳しくない。少し滅入った気持ちで帰り路を急いでいると、あしなが育英会の募金活動のパンフを渡され、振込用紙もついていた。給付型奨学金の創設なども伝えています。少しでも力に成れればと思うが所属する団体も募金活動をしています。
社会にはお金があればという事業活動がたくさんあると思います。こんな投稿を読むと救われます。
新聞の投稿欄からです。
「がん社員支え 絵本贈る企業 77歳
久しぶりに心温まる記事が目に留まった。「がん社員と二人三脚」とのタイトルで、12月16日付本紙夕刊が報じていた。働く年代にもがん患者が増える中、治療しながら仕事を続けることは当人はもちろん、企業側にも雇用の面で大きな課題である。そうした状況下、病院紹介や医療費補助など手厚い制度を創設し、無理なく働けるよう意識改革に取り組んでいる企業があると。それは伊藤忠商事。万一、社員が亡くなれば、子どもの教育補助、配偶者の雇用にも努める。岡藤正広社長自身、大病の経験もあり、がん治療中の社員から「日本で一番いい会社」とのメールを受け、心動かされたという。実は、私も伊藤忠商事に老後の生きがいと夢を与えてもらった。戦争で両親を失った私を支え、生きる力を与えてくれたのは本だった。私は本への恩返しと、子どもたちに本大好きになってもらいたいとの願いから70歳の時、自宅を開放、家庭文庫を開いた。その折、伊藤忠商事から,100冊の絵本を寄贈してもらった。昨年また30万円の支援も頂いた。心から感謝します。」(2018年1月10日西日本新聞)
私たちが知らない事業がたくさんあればいいと思う。
研究環境の悪化は [経済]
「仲畑流万能川柳 毎日新聞2018年1月27日 東京朝刊
☆印は秀逸(仲畑貴志選)
☆オレのケガどうなったんすか貴ノ岩 春日部 匠大平
親方がもし警察に言わなけりゃ 池田 池田のヨン
相撲道華道に引導渡される 東京 ほろりん (以下略)」
山中所長が続投されるというので安心しましたが、山中氏も研究費の確保のために奔走されていることが報道されてきました。
「(声)iPS研究、雇用環境改善して 65歳 2018年1月27日朝日新聞
京都大iPS細胞研究所で、有期雇用の36歳の特定拠点助教による論文の図や数値に捏造(ねつぞう)・改ざんがあったと報じられた。不正はあってはならないことだが、この助教には雇用の期限内で短期的な成果が求められ、達成できなければ失職する恐れがあったという。こうした雇用制度の問題が背景にあることも、考えるべきだと思う。
国立大学の法人化で、国からの運営費交付金がほぼ毎年、引き下げられた。各大学は、個人への研究費配分を減らすとともに、人事を凍結し、採用を有期雇用に変え、人件費を削減してきた。その結果、日本の大学の発表論文数は減少し、国際的地位も低下した。
今回のような論文の捏造や改ざんを防ぐには、個人の問題にして処分を厳しくするだけでなく、研究者がもっと安心して研究に打ち込める環境づくりに努めるべきだろう。つまり、有期雇用を廃止し、雇用を心配せずに研究できる環境を整えるべきだ。さらに、科学研究費補助金に頼らなくても最低限の研究ができるよう、研究費も全分野で増額すべきだ。
iPS細胞の研究は、日本が世界にリードする分野だからこそ、研究環境の大幅改善を国に願う。」
オスプレイ1機約100億円。4機も買うという。1機分を研究に回したらどうか。
「忖度御前」 [経済]
景気には企業分と個人分があることが分かります。
「景気回復本物?ボーナスは・・・
使途自由な額は3年連続減
「貯蓄」57% 家計依然厳しく 西シ調査
西日本シティ銀行(福岡市) は28日、今年冬のボーナスに 関する謂査結果を発表した。 妻が自由に使える金額の平均は、昨冬に比べ19・5%少ない3万7千円と、3年連続で減り、調査を始めた1993年以降で過去最低。景気回復の実感が家計に波及していないことが浮き彫りになった。夫も6.5%減の5万7千円と3年連続の減少。直近では14年の夫7万3千円、妻5 万4千円をピークに減少傾向 にある。(以下略)」(2017年11月29日西日本新聞)
新聞のコラムからです。
「気流
大手コンビニエン スストア、ファミ リーマートの前で 足が止まった。店先に「忖度御前」発売のチラシ。今年のトレンドワードに ちなんだ高級弁当を、数量限定で予約販売するとのこと「なんじゃ、そりゃ」と笑いがこみ上げてきた▼ファミマによると、「ありとあらゆることを忖度し、味と食材にこだわった魅惑の一品」。弁当の中身や具材を題材にしたメッセージがお品書きとして添えてある。「この案件(あんかけ)、うまく(野菜のうま煮)いくとめでたい(キンメイ)です:・・・」。ごますりを連想させるホウレンソウのごまあえ、忖度と掛けたたくあ んの漬物も入っている▼コンビニ弁当としては高額の税込み798円。80万食限定で12月1日に引き渡しを始めるそうだ。この日は2017ユーキャン新語・流行語大賞の発表日。その商魂に恐れ入る。」(同前)
「忖度御前」とは逞しい。
集団就職という時代 [経済]
朝ドラ「ひよっこ」で再び注目された「集団就職」。その多くが故郷への仕送りをするなど今とは違う貧困の時代を必死で生きてきたのだと思う。朝ドラでも、給料日に「現金書留」で送金する姿がありました。高度成長と合わせて語られるように、働き手を必要とした経済成長を実現した人たちだったと思う。自営業を除けばほとんどがリタイアしていると思われます。「ひよっこ」がその人たちへのオマージュになればと思います。
次のような歴史があったという。
「集団就職の始まりはすでに戦前の昭和十四年四月八日に秋田県の高等小学校卒業の少年六八七名が就職団列車(後の集団就職列車)で上野駅に向かったという記録がある。銃後の生産拡充のため集団就職することになったのである(山口覚の『集団就職とは何であったか』による)。 戦後で言えば、昭和二十六年三月二十九日に長野県職業安定課と長野鉄道局によって中学卒の女子が就職専用列車で長野から名古屋駅まで乗車した。この列車は「織女星号」(しょくじょせいごう)と呼ばれ、男性 五O名を含む九四八名が乗車した。同じ二十六年三月には鹿児島県出水駅で、普通列車の最後尾の一両を集団就職列車とした。ここらが戦後の集団就職の始まりと明記すべきだが、おそらくこれ以外にも就職列車は走っていた可能性もあり、いつから集団就職が始まったかを定義すること は難しい。
しかし、私は次のように集団就職者をとらえている。一般に集団就職者と言われるのは、日本の高度経済成長を支えた金の卵として呼称されている。集団就職を論じる場合高度経済成長という言葉は不可欠なのである。したがって高度経済成長が始まった昭和三十年前後から原則として地方から集団という形をとって列車や船などの輸送機関によって都会などに就職した少年、少女などの若者たちと定義したい。輸送機関はその他にパス、後には飛行機も見られた。その終わりの時期は、労働省が廃止を決めた昭和五十年代前半と私は考える。厳密に言えば、高度経済成長は昭和四十八年頃に終わっているが、その後も国の取り組みとして集団就職は行われていたからである。」
旧国鉄筑肥線・人手不足? [経済]
土曜日、会議に参加した後、博多大丸で開かれている旧国鉄筑肥線の写真展に行きました。筑肥線は今は福岡市営地下鉄の延長線になっていて、それで廃線になったところです。今は、道路などになっています。別府橋の南側に住んでいましたので、樋井川をわたる列車に、高校生がデッキにぶらさがるように乗っていたのを記憶しています。城南区役所のところが鳥飼駅だったと思います。
西日本新聞連載より
「にわか人手不足の怪・日本経済の均衡点は」(2014年5月30日西日本新聞)で同社大学教授の浜矩子氏は次のように述べています。
「突然、人手不足。そんな感じになっている。建設・外食・小売り・運輸・IT・介護。派遣社員、パート、アルバイト。時給はどんどん上げますよ。正社員にもしてあげる。ともかく来てくれ、働いてくれ。そんな労働市場模様が、メディアをにぎわすようになった。誠にめでた
い。そういいたい気持ちはある。働く人々にとって、久々の売り手市場ほど、心強いものはない。安堵感が広がる。ようやく、正
当な評価を得られる時が来た。その思いには、胸躍るものがあるだろう。良かった。そう胸をなでおろしたい。
だが、どうも、いささか不気昧だ。」
だとして、「三つの驚き兼怒り」があるとしています。その前に、私は福祉現場の求人難がよぎります。不況時代にはある程度の応募はありますが・・・。浜氏の三つの驚きは「第一に、日本 経済の変貌ぶりがすごい。第二 に、ヒトはモノではない。第三 に、政策による自作自演の結末 が恐ろしい」としています。
経済の変貌ぶりについては「日本経済 はいかに底の浅い経済になってしまったことか。人員を絞りに絞る。賃金をたたきにたたく。労働時間を限りなく長くする。切り捨てられるのりしろを、全部切り捨てる。のりしろではない部分まで、そぎ落とす。もはや、薄くできる余地のないはずの薄づくりを、さらに薄くする。
そうやって、何とか売り上げや 利益をひねり出して来た。 このやり方を続けて来たため
に、ゆとりが全くなくなっている。ほんの少しでも環境が変わると、あるいは変わったかにみ
えると、小さく小さく、辛うじてつじつまがついていたバランスがたちどころに崩れてしまう」
市場に沢山のマネーが供給され、バブルみたいな気がします。また、ハジケル場面の目撃者になるのでしょうか。