「何をしてもいい自由」 [高齢者]
新聞の女性投稿欄に「何をしてもいい自由」という87歳の方の意見がありました。(2020年6月22日西日本新聞「紅皿」)。「老人ホームで生活していますが、寂しいとか孤独感はありません。日ごろから自分の衰えを自覚し、孤独に耐える力を養うことに少々慣れました」とありました。「孤独に耐える力を養う」という表現にしばし瞑目しました。そして自由な老人ホームを見つけたという。元気であればこういう生活が可能だと思いました。だが、孤独と向き合う智慧が必要だということでしょうか。
老いはそれぞれにやってきます。ピアニスト舘野泉は脳梗塞で右手が不自由になります。
「脳梗塞で半身がマヒしたとき、それを境に世界は一変する。ピアニスト舘野泉は脳梗塞で右手が使えなくなったときリハビリテーションを受けて絶望と希望を行き来したという。その希望とはいつか右手が使えるようになるという孤独な希望である」と竹中星郎氏は述べています。(『精神科医がみた老いの不安・抑うつと成熟』)
私も舘野氏と似通った不自由な状態になりました。ある日、左手のピアニスト舘野泉という存在を知りました。竹中氏は孤独な希望へのチャレンジがあるという。投稿の方は「孤独に耐える力を養う」と語ります。孤独に耐える力はあるのだろうかと自問自答する。