再読『舟を編む』 [読書]
本の処分のひとつとして気になる本は再読して処分することにしています。『舟を編む』文庫版の帯には2012年本屋大賞第1位とあります。辞書づくりといっても何か想像しにくい仕事ですね。誰にもできる仕事とは思われませんが・・・。それを辞書づくりに励む人たちをていねいに描いています。
そのなかで気になった思いです。後半部分の主な登場人物の女性の岸辺さんは異動で辞書づくりをすることになります。そこで感じたことは
「わかれ道にさしかかるたび、なんとなく安泰そうな方向に流されるように、漫然と生きて仕事してきただけ。
辞書づくりに取り組み、言葉と本気で向き合うようになって、私は少し変わった気がする。
岸辺はそう思った。言葉の持つ力、傷つけるためではなく、だれかを守り、だれかに伝え、だれかとつながりあうための力に自覚的になってから、自分の心を探り、周囲のひとの気持ちや考えを注意深く汲み取ろうとするようになった」
誰かを傷つけたことがあったことを反省する日々です。口にしたことは戻ってはきません。残念ながら過去にしばられたままです。私の到達点はそこまでですが、岸辺さんは言葉の持つ力に気づいていきます。それを体現しているのが辞書部門の責任者の馬締(マジメ)さんです。仕事を通して社会に貢献しようとはあまり考えてこなかった日々が悔やまれます。言葉について大事にしてこなかったという思いもしています。
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