苦い経験 [障がい者問題]
コロナ禍に対する各国の対応は歴史との関係もあるようです。
「ドイツ人が『命の価値』に関する議論をタブー視する背景には、ナチス時代の苦い経験がある。1939年にヒトラーは精神障害者や身体障害者を『生きるに値しない命』と決めつけ、各地に作った特殊施設に集めて一酸化炭素で殺害する『T4計画』を実行させた。約7万人の障害者たちが、『安楽死計画』とも呼ばれたプロジェクトによって抹殺された」(『パンデミックが露わにした「国のかたち」』)
そして「メルケルは続ける『パンデミックが教えていることは、我々人間がいかに脆い存在であるかということ、そして他の人を助けることがいかに重要かということです』」(同前)
我が国の指導者はこんなことを語ったでしょうか。「生きるに値しない命」として決め込まれたことで、すぐに浮かぶのは相模原障害者施設での19人の障害者が殺害されたこととして身近にあるようです。それは昔のことでなく、2016年7月のことです。裁判は終わりましたが、国民の中での議論もまた広がりませんでした。私などが知らない場所での地道な活動が続いているようです。例えば、コロナ禍では、救命措置のトリアージの論議が深まらないままでいいのだろうか。
ドイツは昔のことでなく、歴史的経過をふまえた発言を政治家がしています。歴史から学ばなければ過ちは繰り返されます。『T4計画』そのものも広く知られているわけではないと思う。日本で紹介されたのはNHK.Eテレで数年前のことです。
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