『藩とは何か―「江戸の泰平」はいかに誕生したか』を読む [読書]
漠然とですが江戸時代には藩が出来ていたのだと思い込んでいました。ところが次のように述べられています。
「慶長年間から寛永年間(一六二四―四四)におよぶ「藩」誕生過程の検討を通じて、地域社会における江戸時代のはじまりを描写することにある。なお、江戸時代に藩という表現は稀で、「国」や「家中」などと呼んだことを、あらかじめ断っておきたい。
「藩」とは、一般的には幕末から明治四年(一八七一)この廃藩置県の時期に普及した呼称である。江戸時代が幕藩体制の世の中であることは、小学校段階から学習する常識だ。幕府の制度的な誕生期を、徳川家康が征夷大将軍に任官した慶長八年(一六O三)二月とするのに異論はなかろうが、藩体制の誕生期となると、藩ごとに家康に臣従した時期など御家事情が異 なったから、専門の研究者ですら答えに窮する難問である」
江戸幕府の成立過程として大阪より西の方面は豊臣方の大名が多く、国替えなどを通じて徳川方の支配地を増やしていくなどの対応のために、時間がかかったことも影響しているのだという。戦国時代で荒れた地方の復興に取り組むことは、戦国大名から地方のトップ官僚となり、そして藩の体制が確立していくとしています。この本では家康の参謀「藤堂高虎」の活躍を紹介しています。昔からの家来でもない藤堂家と幕藩体制の成立が詳しく説明されています。今までさして注目されなかった藤堂高虎の歴史的役割を知る上でも貴重なのかもしれないと思いました。最後に藩とコンパクトシティ構想との関連が述べられていますが、理解は半端なのでふれませんが、都市部・農村部でも空き家問題がありますが、今の法体系では難しそうに感じます。条件付きで自治体の共有地として地域が利用できるようにできないかとは思うのだが。
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