「こちらあみ子」を読んで [てんかん]
ちくま文庫版の帯には又吉直樹氏の「愚直であることは人の美点だと思う」とあります。文庫本には表題作以外もありますが、「こちらあみ子」を読みながら感じたことがあります。
藤沢周平氏の作品だと主人公の説明と展開が具体的です。だが、ここには突然、兄が不良学生となり、母が流産したあとの「産後うつ」みたいになり、寝たきりの生活になり、主婦の仕事を放棄します。そして、次々と記憶が飛んでいきます。それは、私の記憶とも重なります。病弱でひきつけをよく起こした幼児期、そして、てんかんに移行した高校生活以降の10年間ほどですが、記憶が相当断片的です。そのことで困ったことはそんなになかったのですが、「こちらあみ子」を読みながら追体験しているように思えたのです。勝手な思い込みですので作品とは関係はありません。
てんかんという障害当事者として語りたいと思いますが、どこかその時の思いとかけ離れているように感じていました。当時はただ、もがいていただけではないか。てんかんに関わる立場の人は多様です。そのなかで障害当事者の感覚は大事ですが、その感覚が消えていき、理屈になっていると気づいた時に、自分の立場とはと問い直しました。
本を読んで触発されたことです。
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