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『お待ちしていました』 [リハビリ]

 

 

14年前、脳梗塞になり、妻の車で救急病院に行きました。脳梗塞と診断が確定してストレッチャーで待機していたときに、通りかかった看護師が「また、脳梗塞か」と呟いた。もうあきたみたいな雰囲気でした。ひどいことを言うと思ったが、現場の本音はそんなところだと知りました。

 

新聞で知った『リハビリの心と力』を読んだときに出会ったエピソードからです。

 

2か月ほど前に日曜大工で脚立から転落し、 四肢麻痩の状態になった。排尿障害や嚥下障害も いろいろなチューブにつながれた状態だった。

 

『お待ちしていました』

僕らスタッフは連日、重度の患者さんを受け入れていた疲れもあって、「また、(重症また来た」とナースステーションでつぶやいた。それは患者さんには聞こえはしないが、雰囲気は伝わるもので、古岡さんやご家族はそんな僕らの気持ちを察したのか、ナースステーションの前を小さくなって通り過ぎようとした。

そのときだった。古岡さんが使うベッドメーキングを終えた助手の小島さんが小走りで古岡さんを迎えにきた。「古岡さんですね、お待ちしていました」とにこにこして駆け寄ってきて、病室に案内した。ベッドはきれいに拭き上げられ、シーツもきちんと整えられている。吉岡さんはそこに横になると、ほっとしたのか、すぐに静かな寝息をたて始めた。

 その病院には助手とよばれる、介護職の中年の女性たちがいた。底抜けに明るく、僕にとっては癒される存在だった。小島さんのその一人で、若い頃は保育士として働いた時期もあったが、結婚を機に退職し専業主婦となった。以前、母親の介護をされた経験から、介護の手伝いをしたいと当院にこられた方だった。 その後、入院してきた古岡さんは厳しい訓練に耐え、入院して5か月が過ぎた頃には 坐位が安定し、車椅子の駆動も可能となった。日常生活の多くの部分で介助が必要では あったが、家屋の改造も終わったので、自宅に帰ることになった。 退院の日、病院の玄関まで見送る僕たちに奥さんが、「あのときの 『お待ちしてました』の言葉に私と主人はどれほど救われたかしれません。これからどうなることかと不安と悲しみでいっぱいなときに、あの言葉はとてもありがたく、大きな励みになりました」と涙ぐまれ、その横で古岡さんもうなずきながら泣いていた。」

 

著者はリハビリを始めた頃だったかと思いますが、Eテレでリハビリの番組に出ておられた稲川利光氏です。。

 

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