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戸締り [認知症]

 

 

「あかね雲卒業今度は赤提灯  66

小学校低学年の秋、友達と2人で遊んでいた。太陽が傾き「日沈むあの山の向こうヘ」と西に向かった。太陽の沈むスピードに負けまいと、足を速めた。浮んだ雲が残照であかね色に輝き、光っていた。しばらく見とれた。ふと気が付くと、辺りは夕闇に包まれてきた。不安になり、急いで引き返した。真っ暗な山や森から、何かの不気味な鳴き声が響く。夜のとばりは降りた。ようやく街明かりが見えむた。どこかのおじさんがわわれを見つけ、家まで連れ帰ってくれた。地域の人総出で捜していた。父親からこっぴどく叱られた。 その後、あかね雲に誘われることはなくなったが、 赤提灯に誘われるようになった。」(2018213日西日本新聞)

 

「あかね雲」と言えば山本一力氏の小説を思い出します。豆腐職人の生き方を描いていたと思う。あかね雲から夕闇に移るときの寂寥感を投稿から思い出しました。

 その頃になると戸締りをするお年寄りがいたという。

 

「母が家中徘徊実は戸締まり  78

介護のため母の家で一緒に住んだ。一日中、ほとんど寝て暮らしているのに、夜のとばりが降りると、母はベッドを抜け出す。白髪を振り乱し、ネグリジェに素足で家中を徘徊する。まるで夢遊病者のように。だが、数日して分かった。家中の窓やドアの鍵を点検して回っていたのだ。他のことは何もしないが、この戸締まり行動はずっと続いた。山の上の一軒家。防犯にはよほど気をつけていたに違いない。夜が更けると、大通りを走るトラックの騒音以外は聞こえない。介護を忘れて家に帰りたくなるほど、寂しかった。母は40年近くもこの家を守ってきたのだ。その習慣がしっかり身に付いたのだろう。徘徊しながら、母は自分のやっていることの意味を認識していたのだろう か。何か悲しかった。」(同前)

 

親への愛情が溢れています。

 

 

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