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寛容な対応とは [脳梗塞]

 

 

世界的な免疫学者・多田富雄氏が亡くなったのが2010年だという。唯一の接点は脳梗塞だったということです。その後、政府はリハビリ制限を打ち出し、原則180日とします。これに対し、長期間リハビリしても効果がないという政府に対し、猛烈に反論し、立ち上がられた姿が強く印象にあります。『寛容のメッセージ』という本では次のように多田氏の業績を紹介しています。

 

免疫系がウイルスに対して強力に働いてしまうと、自分の肝臓を排除するような炎症を起こします。劇症肝炎がそれです。そうなったら命にかかわります。それを回避するために、あるところで反応をやめてしまうのです。これは広く「免疫学的寛容」と呼ばれている現象の一つです。癌になるのと劇症肝炎になるのとどちらがいいということはないけれど、当面の危機(致命的な劇症肝炎)は回避できる。 この現象は、今の世界情勢と面白い比較が出来るのではないでしょうか。もちろんイラクが問題でないといっているわけではない。でもアメリカは過度に好戦的で、世界を自分が監視しているという免疫系を気取った倣慢さがある。しかし
免疫には、一度引いて共存関係を探る「寛容」というもうひとつの戦略がある。

ブッシュはそれに気づいてほしいものです。(『露の身ながら』集英社))と述べているそうです。

 

こうした考えについて、五木寛之氏は次のようなコメントを述べているそうです。

「戦後ドイツで産業復興のためにトルコ人の労働者をたくさん入れました。(略)ドイツが経済的に復興してくると、今度は失業者が増える。すると『外国人労働者は国に帰れ』という運動が出てきました。その時ネオナチなどの人たちが『免疫を見ろ、人間の身体でさえも非自己を排除しているじゃないか。われわれが異民族労働者を排除するのは免疫の理論に従っている』と言い出したのですが、それは間違っているのです。免疫には『寛容』というものがあって非自己と共存することもあることを知らない」のだと述べています。そして、政治・経済に「寛容」を持ち込むべきだとしています。

排外主義が抬頭する今、とても大事な視点のように思えました。

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