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社会保障と終身雇用 [社会福祉]

 

 

ロックアウト型解雇と言われる正社員の突然の解雇が増えているとはいえ、終身雇用制が完全に崩壊しているとはいえません。だが、企業のM&Aなどで、人員整理がいつあるか分かりません。NHKのドラマにあったように人員削減を請け負う会社もあって、益々、終身雇用は不安定になっています。では、個人はどうすれば良いのか。その処方箋が目の前にはありません。渡辺治氏は戦後の社会保障の遅れについて、次のように指摘しています。

 

「企業社会による福祉代替、社会保障の変質

こうした企業社会と労働組合の変質は、憲法二五条に二つの影響を与えました。ひとつは、企業社会の確立に伴って自民党政権が安定した結果、革新政党が政治を握ってつくる福祉国家は、ついに実現を見なかったことです。そのため、大企業に負担となる福祉は拡充されませんでしたし、福祉の政治を実現するための大企業課税は、他の福祉国家に比べて、安く抑えられ、様々な形で免除されました。もうひとつは、民間企業の労働組合運動の側からの、社会保障の要求が強く出されなくなったことです。大企業の労働者もまたその組合も、終身雇用慣行の下で、自分たちが失業するなどとは思わなくなったため、雇用保険や、生活保護の問題にまじめに取り組まなくなりました。雇用保険や生活保護などは、自分たちと関係ないごく一部の人たちの問題と認識されたのです。六○ 年代初頭に朝日訴訟
を自らの問題として取り組んだ総評の姿勢は、民間企業の労働運動の変質とともに、後退を余儀なくされていったのです。また、労働組合は、自分たちと同じ労働者でも、企業支配の及ばない零細企業労働者の賃金や非正規労働者の解雇や低賃金などの問題にも取り組まなくなったのです。それどころか、退職後の生活保障の問題もあまり真剣に問題とされませんでした。企業に定年まで働けば、退職金がもらえたからです。」(憲法9条と25条・その力と可能性)

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今年の春闘でも大企業の労働組合はベア要求を見送りました。個人としては、解雇されないようにがんばるしか生きていく方策がありません。それは、どういう結果になるでしょうか。私が働いていたところでも、60歳で定年なのですが、再雇用制度はあるがほとんど雇用される人がいなくなったそうです。そうすると、年金までの5年間をどうしてやっていけば良いのかと思うのです。一人ひとりとっては、ただ、真面目に働いてきた結果がこうなるとは。

 

がん患者、お金との闘い

がん患者、お金との闘い

  • 作者: 札幌テレビ放送取材班
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/01/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

昨日届いた本です。「命をとるか、生活をとるか」と帯に書かれています。社会保障の姿です。

 


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