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執拗な「自己責任論」を考える③ [自己責任論]

 

「人に迷惑をかけない」という呪縛

 

 生活保護の問題を調べていると、北九州市での孤立死がありますが、もうひとつ印象的なケースがあります。2006年、京都市内で54歳の息子が86歳の母親を殺し、息子は自殺未遂で逮捕されました。月収20万円弱で両親を養いますが、父が他界し、その後、母親に認知症が出てきます。息子はリストラにあい、貯金で生活していたが、それもなくなり、生活保護を申請するが、「働きなさい」と言われ、いよいよ家賃が払えず、母親に「もうだめや」と告げ、母親も納得してのことだった。息子は父親から「他人様に迷惑をかけるな」と厳しく育てられたという。他人に迷惑をかけられないと心中を企てた。裁判は執行猶予となり、裁判所は「生活保護行政のあり方が問われている」と述べたという。(湯浅誠「反貧困」ほか)

 「自己責任論」として、「迷惑をかけない」のが正しいのだと主張されることがあります。「国に迷惑をかけるな」「隣近所に迷惑をかけるな」「家族に迷惑をかけるな」など、いろいろあります。でも、過日の朝日新聞投書欄でかわされた車いす使用の青年がバスの運転手にお礼を言わなかったケースのように、ハンディがある人などは、なんらかの人助けが必要であり、それを「迷惑」だとする人もいます。投書の趣旨はそんなことではなかったかもしれませんが、迷惑をかけているのだから、お礼ぐらい言ったらと意識がなかったのかと思いました。全盲の人が通行人と接触することもあります。私も、てんかん発作で倒れて、救急車で運んでもらったり、旅行を中断してもらったりしたこともあります。迷惑だったと思いますが、そう思うと外出ができなくなります。社会に生きている以上、他人との関わりは避けて通れません。「迷惑」という中身を問うことなく、一般化していくことで、行き先を途絶えさせてしまうことにならないか。

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kaeru

京都の事件はすごく悲しいことですね、壮絶です。(裁判とか、、涙なしには語れません)
迷惑をかけてはいけない、それはそうかもしれない、でも誰かが助けて上げられなかったのかと思います。

車椅子で外出とかで、あまりにも謝りまくる介護者、当事者は結構嫌みたいです。そんなにワシの存在が迷惑か!という感じでしょうか、ちなみに僕は軽く礼は言いいますけど、、

僕の周りには「迷惑かけて当たり前」的な障害者が多いので、それはどうやねん?って思うこともありますけど、でも迷惑かけないなら障害じゃないし、、、でも「迷惑かけやがって!」と思う人がほとんどな世の中なのでしょう。

そんな中で障害者が地域へ出て行くのって凄く勇気のいることやと思います。「迷惑かけて当たり前」と思えるまでには相当な心の葛藤があったのだろうと思います。

僕はまぁ波風立たないようにこそこそと介護なり何なりするだけでございます。
by kaeru (2008-08-19 16:25) 

すずめちゃん

それぞれの思いの中でやっていくしかないと思いますが 自己責任論の背景をもう少し考えてみたいと思います

by すずめちゃん (2008-08-20 08:32) 

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