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産業遺産報道が無視しているもの・女工哀史 [職場]

 

 

「みんなの広場:製糸産業支えた女子工員たち・72歳 毎日新聞 20140515日 

 

 「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界文化遺産に登録される見通しとなり、喜ばしく思う。日本最初の官営器械製糸場だが、施設の評価認定だけでなく、女子工員の努力も忘れてはならないと思う。

 富岡製糸場の後に各地に民営の製糸場や紡績工場ができ、女子工員が必死に働いて製糸産業を支え、近代日本の原動力となった。「女工哀史」といわれる過酷な長時間労働を強いられ、体を壊す犠牲者も出た。

 三十数年前、社会科教師だった私は山本茂実氏のノンフィクション「あゝ野麦峠」を読み、長野、岐阜県境の野麦峠へ行った。飛騨の少女たちはこの峠を通って信州の工場へ働きに出た。政井みねさんもその一人。しかし、重病となり兄に背負われて帰郷する途中の野麦峠で、「アー、飛騨が見える」との言葉を残して息絶えた。こういう歴史を生徒に伝えた。忘れてはならない近代史の一面である。」

 

私もまた「あゝ野麦峠」を読みました。この国の産業発展には相当の犠牲者がいます。そのことを抜きにして語ってはいけないと思う。現政権が歴史遺産より産業遺産に力を入れていることもうなづけない。

 

「コラム > デスク日記

 

 「明治日本の産業革命遺産」の一つとして世界文化遺産登録を目指す熊本県荒尾市の万田坑。地元ではPR企画や清掃作業などが相次ぎ、登録に向けた準備が進む。そんな万田坑が一時期、“迷惑施設”として煙たがられたことはあまり知られていない。

 立て坑やぐら、れんが造りの施設が並ぶ三井三池炭鉱の主力坑だったが、1997年に閉山。翌年に国の重要文化財に指定されたものの、崩落が心配されるほど風化が進行。ぼや騒ぎもあり、「非行の温床」とも評された。数年前、大掛かりな修復が施されるまでは廃虚も同然だった。

 2010年からの一般公開を機に、荒尾の“宝”と親しまれる万田坑。今夏にも予定される国連教育科学文化機関(ユネスコ)諮問機関の現地調査では、地元の宝への向き合い方も審査対象となる。市民が万田坑を廃虚の危機から救い、世界に誇る宝に磨き上げた実績を、胸を張ってアピールしてほしい。 (木村貴之)=2014/05/15 西日本新聞朝刊=」

 

炭坑もまた囚人労働・朝鮮人・中国人・連合軍捕虜が使役された。その待遇は劣悪なものだったという。そうした背景を無視した地元振興的な捉え方は歴史を無視したものになります。

最近の報道で感じることは、例えば、新出生前診断の問題でもその背景をきちんととらえた報道が少ない。どなたか書いていましたが、大学で文学部が縮小され、教養学部がなくなり、基本的な物の見方や考え方を学ばず、経済面だけで価値を判断する人材を産みだしてきたせいではないかと危惧します。

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