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新聞・テレビが伝えているもの [ジャーナリズム]

新聞・テレビが伝えているもの

何が捨てられているのか

『ジャーナリズム崩壊』 幻冬舎新書 上杉 隆著 740円+税

私たちの生活で、「テレビが言っていた」「新聞に書いていた」というように、新聞、テレビの情報は重要な媒体であり、判断基準になっていますが、そのことを一度疑ってみたらというのが、この本を読んで強く感じるところです。
新聞・テレビで強く疑問に思ってきたことが二つあります。ひとつは、松本サリン事件の被害者、河野夫妻の報道のときです。警察発表をそのままに犯人として報道し、さらに、化学に詳しい人物像を作り上げていきました。その後、犯人でなく、被害者であることが判明しましたが、誤報であることと、謝罪に至るまでには時間がかかったように記憶しています。警察発表など、官公庁などが出す情報をそのまま流す仕組み、横並びの報道の原因として、この本で指摘している記者クラブという制度の弊害があるのでしょう。河野夫人は最近亡くなるまで、一度も意識を回復することはありませんでした。この人を犯罪者としたのです。
もうひとつは、イラク戦争時に「大量破壊兵器」があるとアメリカが言っているから戦争に加わるのも仕方がないと言った新聞記者は、「大量破壊兵器」がなかったことが判明しても、今もテレビコメンテーターとして発言していることです。同じ新聞社の記者が、戦後の新聞は、かつて、戦争に協力することになった反省のうえにあると言い切りました。本当でしょうか。そうであれば、イラク戦争を支持した記者が発言しているのは理解できません。
この本では、「政治部記者の中には『派閥記者』と呼ばれ、事実上、政治のプレイヤーになってしまっている者がいる」とし、担当政治家の出世に合わせて、記者の出世も決まっていくとも述べています。
もっと驚いたことは、全国紙の政治部記者のことです。「日本にいる海外メディアの記者たちは、電車やバスで移動して、その間に市井の人々 と話したり、街の広告から情報を得たりと、一般の人と同じ目線で動き、考え、取材活動に活かしている。ところが、日本のマスコミの場合、ハイヤーを使ったりしているから、政治家や経営者などと同じ目線になりがちになる。そして、次第に向こう側(権力側)の世界に入っていることに気づかなくなり、いつのまにか同化してしまう」との指摘です。各社とも同じではないかもしれませんが、これは、意外と根が深い問題だと思う。
民放の労働組合のデモに遭遇したときに、「女性アナウンサーを正職員で雇用を」というのもありました。このようにささやかながらも「ジャーナリズム再生」への努力も続けられていると思いのます。そうした、目に見えないものが続けられていると信じたいし、そうした動きも知りたいと思う。
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毎日新聞の連載があっていることを知りました
「働けど:’08蟹工船/1 小刻みに殺される」
   http://mainichi.jp/life/job/news/20080819ddm013100104000c.html
 「働けど:’08蟹工船/2 求人広告、甘いワナ」
   http://mainichi.jp/life/job/news/20080820ddm013100150000c.html

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