『漫画映画漂流記』を読む [読書]
サブタイトルは「おしどりアニメーター奥山玲子と小田部羊一」とあり、帯に「NHK連続テレビ小説『なつぞら』の奥原なつのヒントとなった妻」。「ハイジ」「マルコ」「マリオ」をデザインした夫とあり、小田部羊一氏へのロングインタビューの他に共に仕事をした関係者へのインタビューで構成されています。奥山玲子と小田部羊一の創作活動については良く分かりませんが、奥山氏が結婚しても働き続ける最初の社員としていただけで後輩社員は大変助かったという。私の職場にもそんな方がおられました。女性で初の係長として働き続けましたが、女性ということで管理職にはならなかったと言われる人です。こうした先駆者の存在があったことは記憶されたがいいと思う。そんな時代がそう遠くない社会にあったことを知ってもらいたい。
「山下恭子さん
女性社員は入社の時「結婚して子どもが出来たら退職します」との誓約書を書かされました。組合も再建されていたので、「女性が子どもを産むのは当たり前」と、実力行使にでました。その第一号がオクヤマさんでした。前後のことは忘れましたが、オクヤマさんが産休明けに、赤ちゃんを連れて会社の門前にきた時、「子どもを連れて入ったら処分する」と門の内側には会社の役員が何人も立っていました。
私たちは門の前に立ちつくす奥山さんを取り囲んで、「わあ可愛い赤ちゃんね」と抱き取り、 オクヤマさんに一人で中に入って貰いました。それから私たちが赤ちゃんを抱いて門の中に入りました、が、「オクヤマさんが子ども連れで」入ったわけではなく処分は見送られました。このときのオクヤマさんの頑張りが、後から私たちの権利を守ってくれました。夜間保育などなかった時代、残業の時は動画机の脚元には子どもたちの声が賑やかでした」
出産退職の誓約書は私の職場にはなかったのですが、それを受け容れる社会だったのです。そして闘いとられたものだということを知ってもらいたいです。
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