生き返り不安? [自分史]
九州北部豪雨からまもなく2年になります。仮設住宅の2年間での退居を延長してもらえないのかという願いは届かなかった。知事が決断しなかった。
仮設の問題とは違って、棺桶の中で生き返るという不安がある人がいて安心したという話です。
「T子の重大な問題というのは、近づいてきている死の問題である。といっても死ぬのがいやとか怖いといのではない。死んだ後、人はみな棺桶に入れられるが、T子は棺桶の中で生き返ったらどないしよう、という不安と恐怖にもう何年もさいなまれているのである。 二十年ほど前のある日、彼女はとある雑誌で怖い話を読んだ。ヨーロッパのどこかの国で、昔墓地であった地面を掘り返したら幾つかの棺が出て来た。その棺の蓋の裏に爪で引っ掻いたような無数の跡がついていた。土葬された死人が土の下で蘇って、棺の天井を掻きむしったものだという説明があって、それを読んだ時から前述のような恐怖にさいなまれるようになったのだ。」(「佐藤愛子『老残のたしなみ』」)
というのは、過日、死んだときに棺桶に入れる前につねってほしいと妻に頼んだのです。もう忘れられていると思いますが、本人は真剣なんです。家族から小さいときに3回も死に損なったと言われているからです。3回というのは尾鰭がついた話だと思いますが、1回だけは「記憶」にあります。気がついたら隣家のおじさんが私を覗き込んでいたのです。かかりつけ医は臨終と言ったという。からかわれたのかもしれませんが記憶の底に沈んでいるという話です。
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