日本企業は沈没するのか [経済]
年末に『非正規・単身・アラフォー女性』を読みました。40歳代の人たちは大学卒業時に不況であり、その後、非正規雇用が拡大し続けます。
評論家 荻上チキさんと社会学者 上野千鶴子の対談の発言からです(2019年1月1日西日本新聞)。上野氏は女性差別の基本は経済格差だとしています。先の本で感じていたことを明解に指摘しています。
「上野
一番大きいのは女性が働いても食えない問題です。女性差別の基本は経済格差です。それが解消されずに、むしろ悪化している。私たちは雇用機会均等法ができた85年を「女性の分断元年」「貧困元年〕と呼んできました。均等法は結果として「総合職と一般職」という採用区分で差別を正当化しました。しかも労働者派遣事業法が同年にできて労働者が分断された。非正規労働者は男性労働者の21%、女性労働者の56%に上ります。
終身雇用制、年功序列、企業内労働組合という日本型雇用が諸悪の根源だとわかっていま す。子育てをする女性は、この雇用慣行の中では低賃金で使い,使い捨てになる。組合は男性正規労働者の既得権を守るだけです。長時間労働の是正と、非正規でも生活できるようにする同一労働同一賃金制度が必要です。 日本型雇用にこだわる企業は、いずれグローバル競争に負け、沈没していくでしょう。」
非正規労働者は女性で支えられるが、低賃金で使い捨てだという。それは全体の賃金抑制をもたらしています。一連の大企業での不祥事は、企業の言うがままの政治を実現した見返りとして体質的に脆弱化しており、沈没していくとの指摘は新鮮です。税率の引き下げ、消費税が上がれば輸出企業には「戻し」があり、過労死が当たり前の「働き方改革」そして外国人労働者の受け入れ拡大によるさらなる低賃金化の仕組みの強行。楽して収益を上げる仕組みなのです。
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