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「65歳の壁」司法判断は [障がい者問題]

 

 

「介護打ち切り訴訟二審も違法判断 高裁支部、岡山市側の控訴棄却

 65歳を境に障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)に基づく無償の訪問介護を打ち切り、自己負担が生じる介護保険を優先させたのは違法として、脳性まひ患者の浅田達雄さん(70)=岡山市中区=が市に決定取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決で、広島高裁岡山支部は13日、原告勝訴の一審岡山地裁判決を支持し、市側の控訴を棄却した。

  松本清〓裁判長は判決理由で、65歳以上の障害者は原則として介護保険の利用を優先すると定めた支援法に関して「65歳になったとして一律に不支給とするのではなく、必要なサービス内容や負担額を考慮し、支援法による給付が相当な場合がある」と述べた。

  その上で、介護保険の利用によって支援法に相当するサービスを受けているとする市側

欠く」と指摘。裁量権を逸脱し違法と結論付けた。

  一審岡山地裁は今年3月、市に決定の取り消しと慰謝料など107万5千円の支払いを命じている。

  控訴審判決を受けて、岡山市内で記者会見した浅田さんは「生きる権利と平等な介護を受けられる権利が認められ、人間の尊厳が回復した」と語り、原告弁護団長の呉裕麻弁護士は「市の解釈の誤りが一審より明確に示された」と述べた。

  岡山市の大森雅夫市長は「今後の対応を検討したい」とのコメントを出した。

 〓は隆の生の上に一 (20181213 2320分 更新)山陽新聞デジタル」

 

大きな問題だと思うが全国紙は私が知る限りでは伝えていません。関心の低さが出ています。

では、今回の訴訟について「『65歳の壁』はなぜ生まれるのか」でニッセイ基礎研究所の三原 岳氏は次のように説明しています。

 

7――岡山地裁の判決

65歳の壁」問題の見直しに向けた動きは行政サイドだけでなく、司法サイドから浮上する可能性にも留意する必要がある。今年3月に示された岡山地裁の判決では「65歳の壁」問題が一つの争点となっており、初の司法判断が下された。以下、判決文のほか、これに関する法学者による論文や新聞記事など参考にしつつ、論点や内容を考えてみよう。

裁判を起こしたのは脳性麻痺の男性。男性は障害者自立支援法(当時)に基づき、月249

時間の訪問介護を無償で受けていたが、65歳になる直前の20132月、岡山市の通告で障害者自立支援法の給付を打ち切られた。その後、同年7月に153時間の給付が認められた一方、残りの96時間分については介護保険サービスに切り替わった。ところが、介護保険法に沿うと、96時間分のサービスについては月15,000円の自己負担を求められたため、男性が岡山市に対して決定取り消しや損害賠償を訴えた裁判である。

横溝邦彦裁判長は判決理由で、原告の男性には重度麻痺があるため、介助なしに食事や入浴などの日常生活を送れなかったとして、岡山市の決定を取り消すとともに、慰謝料などとして1075千円の支払いを岡山市に命じ、原告側の主張をほぼ認めた。つまり、原告側の生活環境などを踏まえないまま、障害者福祉サービスの不支給を決めたことなどについて、「考慮すべきことを考慮せず、拙速な判断を行ったことが、本件処分を違法とする理由となっている」と考えられている。一方、原告側は介護保険優先の原則が違憲であると主張していたが、判決は法律の解釈・適用に関する判断とどまっており、憲法判断を避けた形となった。

地裁判決後、岡山市は控訴したため、裁判は現在も続いており、その結果が注目される。さらに同様の裁判は他の地裁でも起こされており、裁判の結果は「65歳の壁」問題の議論

に影響を与える可能性がある。」

 

三原氏は現場の判断が尊重されるべきとしていますが、そのことを含めて論議が期待されます。

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