SSブログ

見過ごされた問題 [てんかん]

 

 

旧優生保護法に基づく強制不妊手術について取り上げられることになりました。ドイツのT-4作戦という障害者虐殺は問題になりましたが、日本の「断種」は問題になりませんでした。てんかん運動に関わったものとして忸怩たるものがあります。旧優生保護法があった頃、女子大生が授業でてんかんも対象であるとの講義があり、ショックを受けたという相談がありました。教授にてんかんは遺伝病ではないので法自体に誤りがあるという意見を贈りましたが、法がある以上教えるのは当然だという意味の返事がありました。それ以上の展開には知恵は浮びませんでした。

 日本における障害や病気に対する遺伝性だという考えは根深いものだと思います。そして、下記のような背景も加わります。

 

「(社説余滴)「声なき声」をきく力2018427日朝日新聞社・高木智子

 ことの本質は同じなのに、なぜ見過ごされてきたのか。20年ほど前からハンセン病の取材を続けてきた私の、反省を込めた率直な思いである。

 旧優生保護法に基づく強制不妊手術のことだ。今年になって60代の女性が、謝罪と慰謝料を求め、国を相手に裁判をはじめた。

 国家権力によって子どもを持てない体にされ、人生の可能性が奪われた。「知らないうちに」「施設の人につれていかれて」。家族にさえ隠し、語れずにいた苦しみを語り出す人が後に続いた。

 思い起こしたのが、2000年ごろ、やはり国を相手に強制隔離政策の非を問う裁判を起こしたハンセン病の人たちを取材した時のことだ。

 「一番、言いたくないことを、話さなければ、だれも分かってくれません」

 「断種」と呼ばれる不妊手術をされた過去を、鹿児島の療養所に暮らす上野正子さん(91)と夫(故人)が勇気を振り絞って、証言した。

 戦後の日本で、非人道的な政策が行われていたのは、優生保護法に基づく強制手術も同じだ。この時、私たち社会が強制手術の被害にも正面から向き合うことができていれば、その後の展開は違っただろう。

 優生保護法はハンセン病、知的障害、遺伝性疾患などを理由に不妊手術を認めた。96年の法改正までに約2万5千人が手術を受けた。うち1万6千人は本人同意のないもので、障害者たちだ。

 これまで障害者と支援団体は再三、国に謝罪と補償、実態の解明を求めてきた。国連の女子差別撤廃委なども日本政府に勧告を出した。

 だが、振り向かれない。私も気づけなかった。なぜだろう。冒頭の裁判にヒントがあった。原告の女性の姿が会見場にない。(以下略)(たかきともこ 社会社説担当)」

 

障害当事者が語るのは困難ではないか。それでも誰かが語られねばならない。

004.JPG

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。