自立という強迫観念 [社会福祉]
生活保護について朝日新聞で笹沼弘志静岡大教授は次のように述べています。生活保護法4 条1 項の能力活用要件では「働こうとしない者には保護を与えなくて当然と考えている」としてるが、
「どんな仕事でもがんばって働き、保護に頼らず自力で生きるべきだという[自立」観念は、今なお国民の間に根強く広がっている。それが、保護費削減を許し、保護に値する者としない者との線引きを行い、ホームレスの人々 (住居喪失者)を保護から排除し続ける一方で、劣悪な労働条件や企業の使い捨てを容認し、自らを苦境に陥れる結果となっているのである]としています。
ホームレスも、母子家庭も、障がい者も「自立」を強いられています。障害者自立支援法などは自立しないものには援助をしないことを告げています。それは、自立が困難なものは社会から排除されても仕方がないという思想が流れているのです。国民年金が生活保護費が高いのはけしからんという与党の論理をあっさりと受け入れる国民的基盤があるのだと思います。なぜ、年金が低いのを問題にしないのか。そのことが問われているのです。
有名な朝日訴訟についての判決について笹沼氏は
「基準が「頗る低額に過ぎる]と断じた。それでも朝日さんの訴えを退けたのは、保護受給者の7 倍の1 千万人が生活保護基準以下で自力で生活しており、俣護受給者の方が良い暮らしなのは不公平だとの国民感情があるためだった。」
朝日訴訟が1960年代。それから40年経ったが、少しは意識改革が進んだのか。
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