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精神障がい者医療費は [精神障がい者]

精神障がい者の医療費助成制度は?

改善されているという誤解

 今年になって、重度障がい者医療費の助成制度が見直しされています。この制度は、国の制度ではなく、地方自治体が実施しているものです。ところが、後期高齢者医療制度導入に当たって、65歳以上の障がい者が、障がい者医療費の助成を受けるには、後期高齢者医療制度に加入することが条件とした自治体が10道県になることが明らかになっています。

 厚生労働省は好ましくないとしていますが、今のところ、是正するという自治体は出てきていません。その見直しのなかで、重度障がい者医療費の助成制度に、精神障がい者の1級の人を対象にする動きが福岡県などいくつかあります。

 これを、前進だと評価する人たちが障がい者関係者にもいますが、喜んでばかりではいられない面があります。

障害者自立支援法下の精神障がい者医療費
 
 2006年の障害者自立支援法施行により、障がい者の医療費助成制度は身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者が一本化され、「自立支援医療」として原則1割負担となりました。

 それまでは、精神障がい者については精神保健福祉法第32条による「通院医療費公費負担制度」(通称「32条」)により、障害の程度、種類に関わらず、精神科領域の通院医療費の負担は5パーセントでした。なかには自己負担分を補助する自治体もあります。同制度による自治体負担は年々増えてきて、行政サイドから見直しの声も強まっていました。

 そこで、障害者自立支援法では「障害に係る公費負担医療制度間での負担の不均衡を解消」という名目で、公費負担を減らす方法で精神障がい者が合わされ、1割負担が原則となりました。障害者自立支援法で一挙に倍になったわけです。

 「統合失調症、躁うつ病・うつ病、てんかん、認知症等の脳機能障害、薬物関連障害(依存症等)」では軽減措置があります。この軽減措置も、反対が強かったためにとられた措置であり、いつまで続くか分かりません。

自治体の財政負担と障がい者医療費助成制度
 
 精神障がい者通院医療費公費負担制度から「自立支援医療費」制度になって、自治体の負担は軽減されました。そのなかで、精神障害者保健福祉手帳の1級を障がい者医療費助成制度の対象とする自治体があらわれてきました。図のように障害者自立支援法の自己負担額を補助する仕組みになります(福岡県の場合)。

医療費.jpg

 1級とは、「日常生活が1人では出来ず、他人の援助や介護を受けないと生活が出来ない人」 とされています。全国で約6万7千人です。
福岡県では手帳所持者の13パーセント程度、福岡市で15パーセント程度です。

 自治体にしてみれば、通称「32条」のときは、障害の程度に関わらず負担しなければならなかったのに対して、多くても全体の2割以下が対象になっているわけでから、精神障がい者1級を新たな助成対象にしても「32条」のときよりも、負担減になるとの試算をした自治体もあるといわれています。

 福岡県の重度障がい者医療費助成は、先進的な施策だったのですが、他の自治体並みになります(所得制限の導入、診療科毎に500円負担)。しかし、生活が困難な人には一定の助成は不可欠ですし、障害者自立支援法での負担増など、いくつもの負担増が重なってきています。

 あるべき負担を論議するには、正確な情報が共有されなければなりません。また、精神障がい者が、どう適切な医療を受けるかが、社会参加にとってとても大事なことです。そのための支援が望まれています。



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