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特例子会社のこと [読書]

 


 


発達障害の内側から見た世界 名指すことと分かること (講談社選書メチエ)

発達障害の内側から見た世界 名指すことと分かること (講談社選書メチエ)

  • 作者: 兼本 浩祐
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/01/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



愛知医科大教授の兼本功佑氏の著書からです。


 


ある会社に電話をしたところ「うちの会社ではありません」と言われ「いややっぱりこの会社だ」と再度電話をかけると「また同じと思しき受付の人が電話口で、「そんな会社のことは知らないとさっき申し上げたばかりですが」と苛立った口調で対応されたという。


「似ているが違う会社なのではないかとようやく思い至り、特例子会社とその親会社を混同していた。 それまで実は特例子会社のことに対する認識がなく、私の受け持ちの患者さんも、他の健常な方に混ざって同じ会社で働いていると思い込んでいたことも、この私の混乱の原因だったと思います。


しかしいちばん驚いたのは、親会社をその特例子会社に間違われたことに、まるでプライドを傷付けられたような反応をした受付の人の返答でした」(『発達障害の内側から見た世界』)


 


私には、特例子会社制度の出自の烙印が反映しているように感じられました。


Wikipediaによれば


「特例子会社とは、日本法上の概念で、障害者の雇用に特別な配慮をし、障害者の雇用の促進等に関する法律第44条の規定により、一定の要件を満たした上で厚生労働大臣の認可を受けて、障害者雇用率の算定において親会社の一事業所と見なされる子会社である。完全子会社の場合が多いが、地元自治体の出資を入れる第三セクターの形を採るものもある」


 


背景には、私の理解では大企業での障害者雇用がなかなか進まないので子会社を含めた雇用率の適用をするために作られた制度だと思います。30年余も前の話ですが、地場の大手企業に障害者雇用の改善を行政と一緒に回ったところ、障害者が働く場がないとあっさりとしたもんでした。当時は、知的障害者・精神障害者の雇用義務はありませんでしたし、精神障害者は障害者としても認められていませんでした。知的障害者の雇用義務の対象になったのは20世紀末だったと記憶しています。法制度が先行し、実態が追いかけていくのは仕方がないことでしたが、大企業が障害者をどう見ていたかが先のエピソードにはあると思います。もちろん、善意のところもありましたし、熱心なところもありますが、大方の企業にある雰囲気を伝えていると思います。


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